私の出身地の五島列島のバラモンが話題になると言うことで、NHK+でお昼休みに見ています。
五島だけでなく、もの作りの町工場もテーマなので、親近感を持ってみています。
ドラマの中で、主人公の舞ちゃんが、町工場と連携して、模型飛行機を製作しました。
私も3Dプリンタで作ってみました。
パーツのSTLデータは、フリーソフトページからダウンロードできます。
設計思想
もちろん、ドラマ内の飛行機の設計図はありません。
ドラマの映像をヒントにした程度なので、六角形ボディと2枚翼程度しか参考にできません。
だいたいのイメージをもとにAdventure3のサイズを基本にFusion360で設計しました。
こだわり
・胴体はドラマを参考に六角形、プロペラの複葉機
・プリンタは、Adventurer3を使用するので、サイズは150mm以内
・フィラメントは、手持ちのPLA、黒・黄色・緑
・設計ツールは、Fusion360 個人使用無料ライセンス
・部品は全て3Dプリンタ作とし、締結も金属ネジや接着剤を使用しない
・プロペラとタイヤは、回るようにしたい
こんな方針でモデリングしてます。
3Dプリンタ製作を意識した設計ポイント
・部品厚さやパーツサイズはあまり小さくできない。
小さくしすぎるとうまくプリントできません。今回は最小1.5mm厚、ネジは最小M5とします
・アンダー部はなるべく出ない形状で設計したいけど、でてしまう場合は分割も考えます。
ただし分割すると、今度は分割部品の締結が面倒です。思案のしどころですね。
サポートとヤスリ調整も選択肢の一つと考えます。最悪接着かな~。
・はめ込む部分のクリアランス(隙間)は片側0.1~0.2mmで、精度的にヤスリでの調整は必須かな!
・ネジ部は、メネジはタップ、オネジはネジサイズ比率で縮小し金属ナットでネジ山仕上げ
ネジのプリント
分解・組み立てできる、締結方法で一番メジャーなのはネジ(ボルト)だと思います。
ただし、家庭用低価格な3Dプリンタでのネジのプリントは失敗する事もよくあります。
金属ネジを使用すれば、強度があり小さくできますが、ここはプリンタ製にこだわりたい!
プリント可能なネジサイズ
サイズが小さくなると、失敗するリスクが大きくなります。
筆者の経験では、M4までいけそうですが、失敗したくない場合にはM5までかな?と思っています。
ネジのモデリング
Fusion360 では、簡単にネジをモデリングする事ができますが、オス・メスを
そのままモデリングした造形品同士ではなかなか、スムーズに入りません。
やはり、クリアランス(隙間)を与えてモデリングしたほうが、スムーズに締結できます。
筆者は経験から、隙間片側0.1~0.15mmで設定して、モデリングするようにしています。
Fusin360でのネジモデリングの方法は、例えばM6のボルトナットをモデリングする場合
「φ6ネジ穴用モデル」「φ6円筒ボルト用モデル」「穴にネジモデリング」
「ボルトモデルからネジ穴モデルを引き算」「ヘッドとネジ部分割」
「ボルトモデルを径方向のみ倍率0.95~0.97縮尺」。このような工程でモデリングします。
【径方向のみ縮尺】というのがミソです。
基本的に、メスはFusion360のネジ機能でモデリングし、オスはメスを引き算し、縮尺する方法です。
Fuison360はオス・メスどちらも簡単にネジをモデリングできますが、それでは隙間が空きません。
ボルトネジ部の縮尺率は、「プリント径 / ネジ径」とします。
プリント後のネジ山仕上げ
金属の場合、メネジはタップ、オネジはダイス、という道具でネジ山をさらいます。
しかし、フィラメントのネジの場合、どうしても弱いので、せっかくプリントしたネジ山を
壊してしまう危険があります。
タップの場合はまだやりやすいですが、ダイスは結構難しいです。
特に、小さくなるほど難しく、筆者はM4が最小ではないか?と思っています。
メネジの場合には、プリント後直接タップ処理しても、ネジ山を壊す事は少ないですが
ダイスは難しいので、上記で説明したように、縮尺処理する事でやりやすくなります。
また、ダイスを使うよりも、市販の金属ナットをダイス代わりに使うほうが壊しにくいです。
プロペラ
プロペラは、羽根は少しねじり、組み立て後も回るようにしたいです。
回るようにするために、隙間を空けて一体でプリントする方法も検討しましたが、
やはり一体では、プリントが難しそうです。
まずは、羽根をボルト・ナットで挟み込むことにしました。
CAD的には悪くないバランスだと思いましたが、実際の寸法では
ナット厚が結構薄くなりちょっと不安になりましたが、とりあえずプリントできました。
プロペラ部のプリントは、羽根をねじったので、FlashPrint5の自動サポートで対応しました
ただ、中央のシリンダーの部分の一層目でテーブルと水平なのにうまく貼り着きません
スティックのりを使ったりラフトを追加したりしましたが、シリンダ部分の一層目で剥がれます。
プリント状況を観察していると、真円のはずなのに、多角形に動いています。
これは、NC工作機械でも加工スピードが速かったり、円弧を直線分解するデータの場合には
トレランスが大きすぎる事が原因で多角形のG-Codeになる場合があります。
まずは、プリントスピードを少し下げて、さらに、FlashPrint5 には、「高度な」の項目に
「パス」⇒「パス精度」があったので、この値を、「0.1」⇒「0.05」にする事で解決できました。
レンチ
今回はプロペラ羽根を止めるナットが薄く止めづらかったですが、以前作ったレンチが重宝しました。
今回に限らずナット用のレンチを作成しておくと便利です。
もちろん、金属用の道具は市販でも購入できますが、3Dプリンタでボルトナットを作る場合、
どうしても弱いので、このよな手締めのレンチを作っておくと重宝します
車輪
プリントできるのか?と思いながらモデリングしていたのが、車輪部分です。
車輪も回るようにしたいのですが、カバーとタイヤとシャフトをどう固定するか?悩みどころです。
金属の細めのネジを使用すれば、簡単ですが、プリンタで作るとなると
最小M4、実用M5ぐらいにはしたいです。
ただし、M5のナットは外径は大きく、車輪全体も大きくなってバランスが悪くなります。
今回は、シャフトを少しテーパにして、押し込む事にしました。
最悪、接着で妥協する事としてモデリングしましたが、意外としっくり挿入できました。
また、イメージ的には、後輪は前輪より小さくしたかったのですが、前輪の大きさが限界そうです。
結局、前後輪同じサイズとしました。
細かいパーツのプリント
全体サイズが115×100mmと、設計的に小さかったため、各部品はかなり細かくなってしまいました。
やはり、細かいパーツやアンダー形状のプリントは難しいですね。
サポートやスライサーの設定など、苦労したパーツもあったので、いい勉強になりました。
また、ラフトを使った方がプリントは安定しますが、どうしても底面に影響がでる形状もあります
スティックのりでうまくいけば、そのほうが綺麗でした。
組み立て
組み立て自体は簡単ですが、やはり弱い箇所が、ポキッ!と言う事がありました。
主翼のステーが折れました。
見るからに、弱そうですね。
根本にフィレットを追加したら、折れなくなりました。
パーツ同士の固定方法は、ネジがほとんどですが、上で説明したように、
プリント後、ネジ山はタップやナットでさらっておきます。
さらに、組み合わさるネジ同士は、事前に何度かはめ込んで、軽く入るようにしておきます。
プリンタの制限で、全体のサイズに比べて、ネジ部分が大きい傾向にあるので
組み立てる時に、指が入りにくい箇所もでてきます。
パーツが変に曲がらないように、焦らずに、はめ込んでいきましょう!
完成!
パーツデータ「STL」公開
パーツデータは、こちらからダウンロード可能です。
ただ、ネジや細かい部品は、失敗する可能性もあります。
ご使用のスライサーの設定などで調整してください。
組み立て動画
組み立て方法を、Fusion360のアニメーションで動画にしてみました。
Fusion360のアニメーションはうまく使えば、取説などにも使えそうです。
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